加齢に伴い、筋力の低下や関節の変化が原因となって、四肢・体幹の関節痛が大多数の人に生じてきます。動物の宿命かとも思いますが、各関節の病態や治療について、簡単に解説したいと思います。
(1) 膝痛(主に変形性膝関節症)
外来でよく見かける患者さんとしては、中年以上で肥満やO脚、大腿四頭筋萎縮を伴う人に多い症状です。このような人はたいてい長年にわたり両膝に無理(荷重)がかかっています。歩行時痛や運動時痛、さらに進むと膝に水がたまってきます。その他の原因としては痛風や慢性関節リウマチなどがあります。
治療:@肥満の人はまず体重減少A大腿四頭筋力の強化(競輪選手や陸上短距離選手の大腿筋を想像して下さい)B鎮痛剤(経口剤、坐剤、湿布など)の使用C関節内注射(最近は軟骨成分であるヒアルロン酸ナトリウム製剤がよく使用されています。またステロイド剤の関注もよく効きます)D正座はあまりしない。洋式トイレやベッド、イスなどを使用する。E膝痛・大腿痛の原因として、大腿神経や閉鎖神経の障害もありますので、それらの神経ブロックを併用すると改善する場合があります。以上の保存的療法が無効で、関節の著明な変形に対しては各種の手術が検討されます。
(2)腰痛(変形性腰椎症、座骨神経痛など)
子供から老人まで、かつ急性から慢性まで幅広くあります。下肢放散痛や下肢のしびれ、夜間痛などがなければ、単なる腰痛と思われます。レントゲン撮影では、腰椎の変形、圧迫骨折、椎間板狭小化などが認められることがあります。
治療:@腰痛体操(腹筋・背筋をきたえる)腰椎牽引やコルセットの使用A硬膜外ブロックなど。以上の療法が無効であれば、病態に応じて各種の手術が検討されます。
(3)項頚部痛
肩こりとして訴えますが、上肢放散痛や手指のしびれを伴う場合がよくあります。加齢や事故のため頚椎の変形や、椎間板の狭小化が認められることがあります。また、若くてなで肩の女性には胸郭出口症候群が多く見られます。
治療:保存的療法として投薬、局所注射、リハビリテーション(頚椎牽引、頚椎体操など)。特に首・肩周囲の筋力強化がお勧めです。以上の治療で改善が見られなかったり、症状増悪が認められれば、手術を前提にして脊髄造影やMRI検査などを行うことになります。
(4)肩痛
大多数が四十肩・五十肩といわれている肩関節周囲の軟部組織の変性による痛みですが、時には肩腱板断裂といって肩関節靭帯の断列による痛みや挙上不能があります。断裂部が大きいと手術を要する場合もあります。
治療:投薬、局所注射、関節内注射などにより痛みをとり、リハビリテーションで関節可動域訓練(アイロン体操、滑車訓練など)を行います。以上が各関節痛の主な原因ですが、時にはがんの骨転移や骨腫瘍による関節痛もありますので、気軽に、早く整形外科医に御相談下さい。