受動喫煙の影響
  

環境中たばこ煙(ETS, Envoronmental Tobacco Smoke)

  室内において喫煙者の吐き出す呼出煙とたばこの点火部から立ち上る副流煙が混じり合った総称で、室内空気汚染物質の主たるものです。国際がん研究機構(IARC)や米国環境保護局(EPA)は、ETSをヒト発がん物質に分類しています。環境中たばこ煙が非喫煙者の肺がんの原因になることは、1981(昭和56)年に疫学的に初めて証明されましたが、EPAはそれ以降の多くの疫学研究を体系的に評価して、「受動喫煙の呼吸器系への影響:肺がんとその他の疾患」という報告書を発表しました。

急性影響

受動喫煙による急性影響は、環境中たばこ煙の粘膜への直接刺激と肺から吸収された煙によるものがあります。

  • 眼症状:かゆみ、痛み、涙、瞬目
  • 鼻症状:くしゃみ、鼻閉、かゆみ、鼻汁
  • その他:頭痛、咳、喘鳴、呼吸抑制、指先の血管収縮、心拍増加、皮膚温低下

 これらの症状や反応は、環境中たばこ煙を構成する副流煙が、各種成分の濃度が高く、アルカリ性のためニコチンが強く作用することによります。常習喫煙者より非喫煙者の方が、反応が強いことも確かめられています。これらの症状に加え、たばこ特有のにおいも協同して、他人のたばこの煙に対する不快感、迷惑感の原因となります。

肺がん

   受動喫煙の慢性影響として特に肺がんについて、平山の研究を初め多くの研究が発表されています。喫煙男性の妻の肺がん死亡率は、非喫煙男性の妻より明らかに高く、夫の喫煙量とともに高くなることが知られました。複数の疫学研究をまとめて検討した結果、夫の喫煙による非喫煙配偶者の肺がんの相対危険度は1.3〜1.5とされました。受動喫煙の方が推定タール曝露量の割に危険性が高いことから、能動喫煙と受動喫煙とでは、たばこ煙の有害成分が異なり作用様式も異なる可能性があります。

その他のがん、循環器疾患

    副鼻腔がんについても、夫の喫煙により非喫煙配偶者の死亡率が喫煙本数により、増加することが見いだされています。その他、非喫煙者において、受動喫煙が虚血性心疾患や脳虚血の発作も危険性を高めることが分かってきました。

胎児・乳幼児・小児への影響

       妊婦の喫煙により、流産、早産、死産、低体重児、先天異常、新生児死亡のリスクが高まることが明らかになっています。また、出生後も、家庭内、特に母親の喫煙で、肺炎、幼児の喘息様気管支炎、学童の咳・痰などの呼吸器症状などが増加します。

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